【モダン高級注文住宅・豪邸事例集】

円形の家

円が空を切り取る、
夜空を見上げて暮らす邸宅

「夜空のむこう」をキーワードに計画が始まった住まい。建物の中心をカーブさせてつくった大開口は、床から天井まで抜ける円形広場となり、家のどこからでも夜空を見上げることができます。曲線が生む求心力と、扉をほとんど設けないひとつながりの空間。家族の気配が絶えずめぐる、円形の家です。

円形広場と大開口

この住まいのプランの軸となるのが、建物の中心をカーブさせてつくった大開口です。中庭に面したこのスペースは、床から天井まで抜ける円形広場となり、住まいのどこからでも夜空を見上げることができます。四角い部屋の連続では生まれない求心力が、暮らしの中心を明快に示す——。円形の家がもたらす最大の効果が、この一点に凝縮されています。

吹き抜けと橋

内部は、奥さまが憧れた吹き抜けが頭上高く広がり、開放感にあふれています。その吹き抜けの中央には橋が架け渡され、そこにたたずめば夜空の星たちがすぐ間近に。曲面の壁に沿って上下階が緩やかにつながることで、視線は途切れることなくめぐります。円形の家ならではの、どこにも角のない伸びやかな空間体験です。

プラネタリウムのようなバスルーム

バスルームも星にこだわりました。ドーム状にくり抜いた天井にファイバーを組み込み、リゾートを思わせる浴槽から見上げれば、星座の動きまで鑑賞できるプラネタリウムを設えています。円という形は、包み込まれる安心感をもたらす形でもあります。湯に身を委ねながら光の粒を眺める時間は、この家だけが持つ贅沢です。

和のしつらえ

室内には道産材や珪藻土など自然素材を用いるとともに、和のエッセンスを随所に採用しています。なつかしい趣のちゃぶ台や箪笥など、ご夫婦の愛用品に合わせてダイニングは畳敷きに。主寝室も床の間を備えた8帖の和室としました。曲線の大胆さと、和の落ち着き。相反するふたつが自然に溶け合っています。

扉のないひとつながりの空間

この家には、空間を仕切る扉がほとんどありません。それは、どこにいても星と月を眺められるようにという配慮であり、同時に、いつでも気配を感じていたいという家族の仲のよさが反映されて生まれたプランでもあります。円形の家の中心に立てば、暮らしのすべてが視界のなかにある。形が家族のあり方をそのまま映し出した住まいです。

円形の家_ギャラリー01
円形の家_ギャラリー02
円形の家_ギャラリー03
円形の家_ギャラリー04
円形の家_ギャラリー05
円形の家_ギャラリー06

Check point

「円形の家」とはどんな家?

角のない空間が生む、求心力と開放感

円形の家とは、建物全体や住まいの中心となる空間に円・曲線を用いた住宅を指します。完全な円筒形の建物から、中庭を円形に切り取るもの、壁の一部を大きくカーブさせるものまで、そのあり方はさまざまです。
共通する魅力は、角がないことで生まれる視線の連続性。壁面が緩やかに回り込むため、視線が途中で止まらず、実面積以上の広がりを感じさせます。同時に、円の中心に向かって空間が集まる求心性が働き、家族が自然と一箇所に集う場をつくり出します。
また、円形の中庭や大開口は空を丸く切り取り、時間や季節によって表情を変える「光の装置」にもなります。四角い間取りでは得られない、劇的な空間体験が得られるのが円形の家の醍醐味です。

曲線を成立させるための技術と経験

円形の家は、設計・施工の難易度が高い住宅です。曲面の壁は下地の造作から仕上げまで手間がかかり、建具や家具も既製品では収まらないため造作が前提となります。当然、コストは直線的な建物より上がります。
また、円や曲線を含むプランでは、家具を置きにくい隙間や使いにくい残余空間が生まれやすいという課題もあります。造作家具で曲面に沿わせる、あえて余白として扱うなど、あらかじめ使い方まで含めて設計しておくことが重要です。
断熱・防水・構造の納まりも直線部より複雑になるため、曲面を扱った実績のある設計者・施工者に依頼できるかどうかが、仕上がりを大きく左右します。デザインの美しさと性能を両立させるには、経験の蓄積が不可欠です。

円形の家を成功させる設計ポイント

1.

「何を囲むか」から円を決める

円形の家を美しくまとめる鍵は、円を形として先に決めないことです。空を見上げるための広場、家族が集うリビング、庭の一本の木——。囲みたい対象を定めてから曲線を引くと、円が必然性を持ち、暮らしと結びついた形になります。
中心が明快であれば、周囲の諸室は自ずと配置が決まります。逆に目的のない円は、使いにくい隙間ばかりを生んでしまいます。円は「装飾」ではなく「暮らしの中心を示す線」として扱うのが成功の定石です。

2.

曲面に合わせた造作と素材選び

曲面の空間では、既製の家具や建具が壁と噛み合わず、隙間や違和感が残りがちです。収納・カウンター・ソファなどを曲線に沿わせた造作とすることで、無駄なく美しい納まりが得られます。
仕上げには、曲面に追従しやすい左官材や薄い木材、細かく割り付けたルーバーなどが適しています。素材の目地や割付を曲線に沿って通すと、カーブの美しさがより際立ちます。手仕事の精度が問われる部分だけに、施工者との事前の擦り合わせが欠かせません。

3.

扉を減らし、視線をめぐらせる

円形の家の魅力を最大限に引き出すのが、仕切りを最小限にした計画です。扉を減らして空間を緩やかに連続させれば、曲面に沿って視線がめぐり、どこにいても家族の気配を感じられます。
吹き抜けや橋、スキップフロアを組み合わせると、上下方向にも視線が抜け、円の立体感が際立ちます。プライバシーが必要な部屋だけを明確に閉じ、それ以外は開いたままにする——このメリハリが、開放感と暮らしやすさを両立させます。