建築家ルイス・サリヴァンとは

フランク・ロイド・ライトやヘンリー・ホブソン・リチャードソンと並び、アメリカ建築の三大巨匠であるルイス・サリヴァン。ここでは、ルイス・サリヴァンの魅力や代表作について紹介します。

ルイス・サリヴァンとは

ルイス・サリヴァンは、1856年マサチューセッツ州ボストンにて誕生しました。農場で自然に囲まれながら過ごす幼少期でしたが、16歳のとき、ルイス・サリヴァンはマサチューセッツ工科大学に入学します。しかし肌に合わず、すぐに退学しました。

1年後にはフィラデルフィアに移り、建築家フランク・ファーネスの事務所に就職。事務所で建築について学ぶルイス・サリヴァンでしたが、不景気を理由に退所を余儀なくされました。

そして1873年、イリノイ州シカゴに移ったルイス・サリヴァンは、鋼製ラーメン構造の採用で有名な建築家ウィリアム・ル・バロン・ジェニーの事務所に入ります。当初シカゴは大火からの復興のさなかであり、建設ブームにありました。

ルイス・サリヴァンはジェニーの事務所もすぐに退所し、パリの美術学校エコール・デ・ボザールへ入学。1年ほど学び、再びシカゴに戻りました。ルイス・サリヴァンはこのとき18歳。若い頃はなかなか安定しない人生を歩んでいます。

オーディトリアム・ビル建築で名声を得る

安定しない人生を歩むルイス・サリヴァンでしたが、さまざまな経験から独学で知識や技術を習得していました。ジョセフ・S・ジョンストン&ジョン・エデルマン事務所では製図係として働き、1879年にはダンクマール・アドラーに雇われます。1年後には事務所の共同経営者となり、ルイス・サリヴァンはデザインを担当します。

そして1889年、代表作のひとつでもあるオーディトリアム・ビルの最上階に事務所を構えます。アドラーとの共同事務所は大成功を収め、14年間で建築したビルは100棟以上に及びます。なお、オーディトリアム・ビルは4,200席の劇場のほか、ホテルやオフィス、商業施設を含む複合施設。特にルイス・サリヴァンが担当した建築物正面とインテリアのデザインが評価され、共同事務所が名声を得る結果となりました。

オフィスビルの設計を中心に行う

オーディトリアム・ビルで評価を得た後は、オフィスビルの設計者として実績を積んでいきます。セントルイスのウェインライト・ビルやシカゴのシラー・ビル、シカゴ株式取引所。バッファローのギャランティー・ビルなどの設計を手がけています。また、カーソンピリースコット百貨店においては、ルイス・サリヴァン単独で設計を行いました。

1893年、シカゴでコロンビア博が開かれた際、ルイス・サリヴァンは主要会場のホワイト・シティの設計団の書記を務めるほか、交通館の設計も行いました。この博覧会において、フランスの装飾美術協会から3つのメダルを授与されています。


ルイス・サリヴァン建築の魅力とは

劇場設計やオフィスビル設計で数々の実績を残したルイス・サリヴァン。ルイス・サリヴァン建築の魅力はどこにあるのでしょうか。

機能性とデザイン性を両立した設計

ルイス・サリヴァンが残した有名な言葉のひとつに、「形態は機能に従う(form ever follows function.)」があります。機能主義を表す言葉であるものの、「デザインの美しさは機能に従属する」「機能を追求することで、美しいものができる」という意味も持っています。

アールヌーヴォー様式に関連する有機的装飾

ルイス・サリヴァンが手がける装飾の多くは植物模様を取り入れた有機的な装飾です。繊細で美しいのが特徴。たとえばカーソンピリースコット百貨店のコーナー円筒部にあしらわれた装飾は、左右対称の何層にも重ねられた曲線模様。花や葉といった各部のスケールが小さい綿密なデザインとなっています。

建築家ルイス・サリヴァンの
代表作

ここでは、ルイス・サリヴァンの代表作の一部を紹介します。

オーディトリアム・ビル

1889年につくられたオーディトリアム・ビルは、4,200席の劇場やホテル、オフィス、商業施設を含んだ建築物です。建設後、シカゴを文化的な都市として1893年の世界コロンビア博へと導いています。

ウェインライト・ビル

1891年、ミズリー州セントルイスに完成しました。基壇・柱部・頂部の3層構造のファサードのデザインで構成されており、古典的なギリシア建築を意識しています。

ギャランティ・ビル

1896年の建築当初は「プレデンシャルビル」と呼ばれていました。ウェインライト・ビルと同じく3層構造のデザインをファザードに採用。大きく開いた窓のある1層目の地上ゾーン、垂直を強調したデザインの2層目、アーチとカーブが古典的なデザインの3層目で構成されています。

ベイヤード・ビル

1887年に完成したベイヤード・ビル。ニューヨーク州ニューヨークマンハッタンにあり、ルイス・サリヴァンがニューヨークで手がけた唯一の仕事です。13階建てのこちらのビルには、白い釉薬のテラコッタが採用されています。

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