建築家アルヴァ・アアルトとは

ここでは、北欧デザインの巨匠アルヴァ・アアルトについて紹介しています。手掛けた建築の魅力や世に知られる代表作などを知れば、理想とする注文住宅の実現に一歩近づけるでしょう。

アルヴァ・アアルトとは

アルヴァ・アアルトは、フィンランド生まれの建築家です。北欧の賢人として名高く、北欧デザインをはじめ、スツールや照明などの家具を多数デザインしたことで知られています。併せて200以上の建築物を残しており、北欧でのモダニズム建築の隆盛のきっかけとなりました。以降の建築家たちに、多大な影響を与えています。


1916年~1921年まで、ヘルシンキ工科大学にて、フィンランドの建築家で、教授、画家でもあるアルマス・リンドグレンに建築を学び、卒業後、1923年に自分の建築設計事務所を立ち上げました。1935年には妻アノイとアートコレクターとともに家具メーカー「アルテック」を設立しています。


1928年開催のコンペで1等を取ったアームチェアの斬新さは「材料革命」と評価され、フィンランド国内だけでなく国際的なデザイナーとして世に知られることになったのです。建築物ではアアルト自邸やパイミオのサナトリウム、マイレア邸が知られています。晩年にはフィンランド・アカデミー会長を努めました。

アルヴァ・アアルト
建築の魅力とは

アルヴァ・アアルトの建築に共通して見られる特徴をチェックしてみてください。

自然素材の美しさに着目した作品

建築物のデザインは「有機的なフォルム」「木」がポイントです。木をはじめとした自然素材を活かした作品が多く見られます。アルヴァ・アアルトが活躍した1920年代は、モダニズム建築の隆盛期でした。コンクリートと鉄、ガラスなどの無機質な素材を使った大量生産の時代です。時代背景で考えると、木造建築は時代遅れと考えられていました。


その時代にアルヴァ・アアルトは、あえて木を使ったわけです。無機質なコンクリートや鉄やガラスとは違い、木は温度ややわらかさを感じさせるものでした。木のやすらぎや癒しを求める方に評価され、北欧デザインは作り上げられたのです。

過ごす人、使う人に配慮した設計

病気で苦しむ方が元気になれるような療養所の設計も、アルヴァ・アアルトの名を世に知らしめた作品の1つです。

結核療養所の設計コンペで1等を獲得したことが担当するきっかけでした。トゥルク近郊の療養所予定地の周囲は森です。アルヴァ・アアルトは自然の多さに着目し、活かす設計をしたのです。機能主義と呼ばれる建築様式ですが、病室からは、木と木の間から陽光が差し込むような景色を見ることができました。

建物の色彩にも特徴が見られます。気持ちが沈まないように、床には明るい色が使われました。家具も木材のフォルムを曲げるといったやわらかさを感じさせるものだったのです。

建築家アルヴァ・アアルトの
代表作

アアルトは北欧デザインの巨匠として多くの建築作品を発表しています。スツールや照明のデザインでも世界的に知られていますが、建築物に焦点を当ててご紹介します。

アアルト自邸

1963年、フィンランド・ヘルシンキにあるアアルトの自宅です。アアルト自身が設計しました。アトリエ、設計事務所としても、1955年アアルトスタジオが完成するまで使われています。アアルト作品の特徴でもある木材が豊富に使われている建物です。

木材以外にも、レンガも豊富に使われています。全体的にシンプルなデザインにし、モダン建築を表現しているのもポイントです。アトリエの間口を狭くし、外装のレンガは漆喰で仕上げました。窓の配置からアアルトの機能主義の考え方が見受けられます。

アアルトは自宅の建築を通じて、素材や工法を試しました。道路から見ると閉鎖的、質素に感じられるかもしれません。ただ、建物中に一歩入ると開放的です。上部に設置された窓から木の葉も見えます。

パイミオのサナトリウム

パイミオの結核療養所/サナトリウムです。北欧でのモダニズム建築が注目され、アアルトの名が世に知られるきっかけとなった建築物といえます。機能主義というアアルトの哲学が見受けられる建物です。

コンクリート構造と時代に対応する建築技術を活かし、建築と機能をわけない設計を実現しています。中心の階段は黄色い床、廊下はバラエティ豊かなカラーリングの壁、病室の天井は濃い色、バルコニーの手すりはオレンジ色です。

建物の各部は用途に合わせてグループ分けされています。また、建物以外に注目したいのはアアルトの代名詞ともいえる家具です。療養所限定ではなく、他にも使われるような汎用性の高いデザインで製作されています。

マイレア邸

アアルトの最高傑作と評価される、友人でありアルテックの共同設立者のために作られた家です。アアルトは、自由に設計することを許された結果、オリジナリティあふれる家を実現しました。内装は妻のアイノ・アアルトが担当しています。

当時のフィンランド芸術とデザインが結び付けられているのも特徴です。木材の使い方、プールの曲線など、アアルトの特徴であるやわらかさが各箇所で感じられます。

ただ、テーマは1つではなく複数反映されているのも特徴です。質感や素材も各所で違いますが1つの作品として収まっています。マイレア邸は当時に限らず、国際的にも高い評価を受ける1900年代の建築物として位置づけられているのです。

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