建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュとは
ここでは、近代英国を代表する建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュの略歴や建築観、代表作について紹介しています。歴史上の偉大な建築家はどのような創作を行ったのか。理想の高級注文住宅を建てるための参考にしていただけたら嬉しいです。
チャールズ・レニー・マッキントッシュとは
チャールズ・レニー・マッキントッシュ(1868年-1928年)は、英国スコットランド、グラスゴー出身の建築家です。16歳でジョン・ハッチソンの建築事務所に弟子入りする一方、グラスゴー美術学校にも入学し、設計・デザイン・アートを学びました。
グラスゴー美術学校では後に妻となるマーガレット・マクドナルドと知り合い、彼女の協力も得ながらマッキントッシュは、母校・グラスゴー美術館の新校舎(1899年)をはじめ、クイーンズ・クロス・チャーチ(1897年)、ウィロー・ティールームズ(1903年)、ヒル・ハウス(1904年)など数々の作品を手がけました。
幾何学模様を中心とするデザイン重視の作風は高く評価され、独自のスタイルと名声を確立しましたが、後年は建築から身を引き、水彩画家に転向。1928年ロンドンで死去。
チャールズ・レニー・マッキントッシュ
建築の魅力とは
マッキントッシュ建築の特徴は、時期によって設計やデザインのスタイルが変わる「変遷」が見られることです。ここでは、マッキントッシュが表現した3つの建築スタイルを紹介します。
独自のアール・ヌーボー様式
マッキントッシュの初期の設計活動における特徴は「アールヌーボー様式」です。アールヌーボーは自然界の動植物の形状やフォルムにみられる曲線的なデザインを特徴としていますが、マッキントッシュはその基本的なエッセンスはそのままに、モダンなテイストや素材をいかした色彩、機能的な要素を取り入れて融合させることで、独自のスタイルを確立しました。
自然をモチーフとしながらモダンで機能的に作用する、マッキントッシュ流のアールヌーボー解釈です。
グラスゴー・スタイル
独自のアールヌーボースタイルを確立した後のマッキントッシュは、今度は一転して、後に「グラスゴー・スタイル」と呼ばれることになる、直線と幾何学的なデザインで構成されるシンプルな造形スタイルにかじを切ります。1900年以後のことです。
自然をモチーフにした曲線デザインから、直線・幾何学模様を配した機械的なスタイルへ…。この転換は単なる変遷というより、建築家マッキントッシュのデザインセンスとテイストの多様性や奥深さの表れとみることができます。
はたして、マッキントッシュの建築スタイルは時代を経てさらに変化を続けていくのです。
アール・デコ様式
後年のマッキントッシュはグラスゴースタイルをさらにリファインしたような、「アール・デコ」様式に傾倒します。アール・デコ様式は1920年代に登場し1930年代にかけて流行した装飾様式です。
流線デザインを特徴としたアールヌーボーとはコンセプトが対照的であり、自由な曲線美を追求するアールヌーボーに対して、アール・デコは直線と幾何学模様によって構成され、徹頭徹尾、合理性・機能性・規則性を追求しています。
作風の変遷めまぐるしいマッキントッシュが、最後にたどり着いた創作の在り方というべきかもしれません。
建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュの
代表作
多彩なセンスとテイストをもって多くの建築設計を手がけた、チャールズ・レニー・マッキントッシュの作品の中から、代表作3つを紹介していきます。
グラスゴー美術学校
グラスゴー美術学校は、マッキントッシュが弱冠27歳で設計コンペに優勝して建てられた美術学校です。創立は1845年で元々は12イングラム通りに建物がありましたが、1897年の移転に伴い新築工事が行われました。
設計・デザインは、マッキントッシュが独自のアールヌーボー様式を確立した時期に行われており、自然をモチーフにした曲線的なデザインと、シンプルな直線的デザインが入り混じる、マッキントッシュのオリジナルスタイルが外観の特徴です。
同校は現在もスコットランドの名門美術学校として運営されており、数多くの現代アーティストを輩出するなど英国の芸術教育を支えています。
ウィロー・ティールームズ
ウィロー・ティールームズは、1903年にスコットランド、グラスゴーに完成したティールーム(カフェ)です。マッキントッシュらしい左右非対称や緩やかな曲線を描いた出窓など外観に加え、内装、インテリアのデザインも手がけています。
現在のウィロー・ティールームズは2階・3階がティー・ルーム、1階は小物やお茶を販売するショップとなっており、歴史はあっても新鮮さを失わない、かつマッキントッシュの足跡が色濃く残る人気カフェです。
ヒル・ハウス
ヒル・ハウスは、スコットランドのヘランズバラの高級住宅地に1902年~1904年にかけて建てられた住宅です。
特色的なのは、スコットランドの伝統的な建築様式に、マッキントッシュならではの幾何学的デザインを取り入れた独特の折衷スタイルであるのに加え、なんと日本の建築空間を彷彿とする和モダンテイストの影響がみられることです。
マッキントッシュは日本建築の影響を受けていたといわれますが、それが本当ならヒル・ハウスは、スコットランドと日本の美しさを融合した特別な名作といえるのかもしれません。
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アーキテクツ
現代的な先端の感性に伝統の様式美を調和させ、「100年経ってもさらに魅力を深めてゆく」美しい建築作品を生み出し続ける、気鋭の企業。
“森を建てる”をキーワードに、高品質の国産材にこだわり、乾燥技術から加工技術、建築までを協業化した、画期的な産地直送住宅供給システムを確立。建物に命を吹き込む建築を追求し続けている。