細長い土地のプラン

間口が5メートルしかない細長い土地に、快適な住宅プランは無理でしょうか。

質問者

新築を考えています。土地を探していましたが、なかなか予算に合う土地がなく1年以上探しています。

先日、安い土地の情報を入手し、さっそく現場を見に行ったところ、間口がわずか5メートルの細長い土地でした。東側に人が通れるほどの小道があるのがせめてもの救いで、こんな土地にどんな家が建てられるだろうと主人と話していました。しかし、土地の安さは魅力的です。こんな鰻の寝床のような土地でも快適に暮らせる家が建つのなら、この土地を入手したいと思っています。

そこで、ハウスドクターの石出先生なら、どんな家を設計するだろうと思いきって筆をとった次第です。我が家は主人と私、子供1人の3人家族です。茶道が趣味なので、ゲストルームを和室にして炉が切れるとうれしいのですが…。よろしくお願い致します。

(札幌市・Yさん)

質問者

良い設計をすれば住みやすい住宅になります

石出和博

土地の図面を実際に見せていただきました。南西側の間口が約5メートルで、奥行き20メートルという本当に細長い敷地でした。これは、よっぽど良い設計をしないと、なかなか住みやすい住宅にはならないと思いますが、幸い東側に約3メートルほどの道路があり、この空間はいいですね。三人家族で、ご夫婦が30代ということですから、思いきった構成の住宅でも違和感なく住みこなせると思います。

予算がわからないので木造にするか、コンクリート住宅にするか、それによってプランニングは少し変わりますが、とりあえずどちらにでも使える様なプランを作ってみました。

石出和博

要望に合わせたプランニング

  • 中庭にすることで採光を確保
    この庭は光庭にもなり、2階、3階の個室に光を運ぶのに有効です。
  • 茶室と庭のつながりを考慮
    1階に茶室となる和室八畳を取り、水屋(簡易的なもの)を階段の下に取りました。夏になって、気持ちの良い日は、玄関から茶室に出て、待合いから洗水を使って、広縁から茶室に入ることもできるようにしました。
  • 主寝室と子供室
    3階は主寝室と子供室、それぞれロフトにできると思います。壁面いっぱいに収納スペースを取っています。家全体としては、収納が少し足りないかもしれませんが、ロフトを上手く収納に使う手もありますね。
  • 居間は、一番条件の良い所に確保
    今は、2階南側の一番条件のよい所に。階段室は廊下になっていて、ダイニングキッチンとユーティリティ、浴室に続いています。食堂と居間が離れているプランはよく作るのですが、生活してみると、これがなかなかよいですよ。
  • カーポートまたは、車庫も可能
    カーポートは1台だけとれました。車庫にすることも出来ますし、来客用のためにもう1台駐車スペースを確保する工事をしても良いでしょう。
細長い土地
引用元:建築家+石出和博のハウスドクター診察室

コンクリート造で屋上も活用すると◎

コンクリート造で家を建てたとしたら、屋上も活用することをおすすめします。予算が厳しければ、1階をコンクリートで、2階、3階を木造で造ると、予算は15~20%ぐらいは抑えられるでしょう。

土地が予算より安い物件であれば、その分、建物やインテリアにお金をかけることもできます。この住宅プランが気に入っていただけたのなら、この土地の購入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

編集チームのまとめ

アイデア次第で細長い土地にも素敵な家が!

細長い土地の場合、相当によいプランを作らないと住みやすい家にはなりませんが、不可能ではないとのこと。相談者の要望に合わせて具体的な住宅プランが示されましたが、中庭を作って採光性を確保する・ロフトをうまく使って居室や収納を確保するといった、柔軟なアイデアと工夫次第で十分に素敵な家が建ちそうです。

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創業者 石出和博
【監修・スポンサー】
建築家
HOPグループ代表 CEO
石出和博
~Kazuhiro Ishide~

北海道芦別市生まれ、北海道産業短期大学建築学部卒、中堅青年海外派遣事業で渡米した米国の建築に刺激を受け、日本の伝統建築を学ぼうと帰国。1973年藤田工務店入社、宮大工の技術を学ぶ。1989年1級建築士事務所アトリエアム(株)を設立し、伝統住宅、茶室など多数の作品を発表。1996年林野庁の支援を受け国産木材を活用した産地直送の住宅供給システム、HOPハウジングオペレーションアーキテクツ(株)を設立、現在に至る。受賞歴、著書多数。