建築家オスカー・ニーマイヤーとは
ブラジル・モダニズム建築の父と称されている、オスカー・ニーマイヤー。2012年に104歳で亡くなる直前まで建築家として活動していたそうです。ここでは、オスカー・ニーマイヤーの魅力や代表作について紹介します。
オスカー・ニーマイヤーとは
1907年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにオスカー・ニーマイヤーが誕生しました。1929年にはバルナピタス高校を卒業。1934年にリオデジャネイロ国立芸術大学建築学部を卒業しています。
芸術大学卒業後は、ルシオ・コスタとカルロス・レアンの設計事務所にて勤務。旧教育保健省庁舎の設計に携わっています。また、その際設計顧問としてル・コルビュジエが招かれており、オスカー・ニーマイヤーはその後もル・コルビュジエの影響を受けたといわれています。
1940年、ジュセリーノ・クビチェック(当時はベロオリゾンテ市長)と出会い、パンプーリャ湖畔の開発計画に参加。1945年にはブラジル共産党に入党しています。
第二次世界大戦後の1952年には、ル・コルビュジエらと共にアメリカ・ニューヨークの国際連合本部ビルのデザインにも携わりました。
新首都ブラジリアの建築計画に参加
オスカー・ニーマイヤーといえば、新首都ブラジリアの建築計画が有名でしょう。ブラジル大統領へと登りつめたクビチェックの呼びかけにより、オスカー・ニーマイヤーは大統領官邸や国会議事堂、最高裁判所、法務省、外務省などの主要建築物の設計を行います。そのため、世界遺産に登録されたブラジリアには、オスカー・ニーマイヤーのデザイン思想がいたるところに表れています。
104歳で亡くなる直前まで建築家として活動
新首都の建築計画に参加したオスカー・ニーマイヤーでしたが、1960年代〜1980年代において、左翼的であることからブラジルでの設計活動を禁じられてしまいます。そこで1967年、亡命のような形でフランスのパリに移住。フランスを拠点として、フランスやイタリア、アルジェリアなどで設計を行いました。
1985年にブラジルの民政が復帰した頃、オスカー・ニーマイヤーはブラジルへ帰国します。晩年は生まれ故郷であるリオ・デ・ジャネイロで建築家として活動し、104歳で人生の幕を下ろしました。
オスカー・ニーマイヤー建築の魅力とは
オスカー・ニーマイヤー建築には、どのような魅力があるのでしょうか。
ダイナミックで美しい曲線
オスカー・ニーマイヤーのデザインといえば、ダイナミックで美しい曲線です。本人は「自由な曲線」と表現しており、その感性は建築に詳しくない人でも特別なものであると感じることができます。なお、オスカー・ニーマイヤーの描く曲線は、山々や川のしなやかさ、海の波、そして女性の体に見られる曲線を意識しているのだとか。
たとえばブラジル国会議事堂のお椀のようなデザイン、祈りを捧げる手をイメージしたブラジリア大聖堂、大輪の花が咲いたようなニテロイ現代美術館など。機械的ではないダイナミックな曲線が、訪れる人の心を掴みます。
建築家オスカー・ニーマイヤーの
代表作
オスカー・ニーマイヤーが手がけた建築物は数多くあります。そこで、代表作の一部を紹介します。
プラナルト宮殿
1960年竣工。ブラジルの大統領府であり、新首都ブラジリアの中心にある三権広場内に建てられています。三権広場にある国会議事堂や連邦最高裁判所もオスカー・ニーマイヤーが設計しているため、調和のとれた景観も見どころです。
プラナルト宮殿のデザインは他のオスカー・ニーマイヤー建築と比較して直線が多いものの、柱と外部構造を構成する細い波線が特徴的。シンプルかつモダンな印象を演出しています。
ブラジル国会議事堂
新首都ブラジリア建設計画の一環で建築された国会議事堂です。3階建の低層棟と28階建の高層棟で構成されており、直線と曲線の融合が見事。低層の凸型ドームの中には上院議場、凹型ドームの中には下院議場があります。お椀のような形の2つの巨大な建築物が強く印象に残る作品です。
ブラジリア大聖堂
1970年に完成した、ブラジルの首都ブラジリアにあるカトリック教会の大聖堂です。曲線が美しい16本の支柱が支え合うようにして円形空間を内包しており、一般的な教会とは全く異なるデザインです。内部には3体の天使が吊り下げられており、青と緑と白のステンドグラスがモダンな印象を与えます。
ニテロイ現代美術館
1996年に竣工した、ニテロイのボア・ビアージェン地区の海岸沿いの崖の上にある現代美術館です。オスカー・ニーマイヤーとエンジニアのブルーノ・コンタリーニが設計を担当しています。展示室は360度パノラマ展望。花をイメージしたという巨大な建築物は、まるで不時着したUFOのよう。ニテロイの景観と曲線美がマッチしています。
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現代的な先端の感性に伝統の様式美を調和させ、「100年経ってもさらに魅力を深めてゆく」美しい建築作品を生み出し続ける、気鋭の企業。
“森を建てる”をキーワードに、高品質の国産材にこだわり、乾燥技術から加工技術、建築までを協業化した、画期的な産地直送住宅供給システムを確立。建物に命を吹き込む建築を追求し続けている。
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