豪邸のこだわり・内装ピックアップドライエリアとは?
地下と外につなぐ外部空間(空堀)
ドライエリアは「空堀(からぼり)」とも呼ばれる空間設計の1つであり、地下部分に設置する外部空間として考えられています。例えば、高級注文住宅を設計する際にこだわりの空間として地下室を設置することもあるでしょう。しかし地下室は閉鎖的なイメージがあり、また空調管理などをきちんと行えなければ空気がよどんだり湿度調節ができなくなったりといった状況にもつながりかねません。
しかし地上部分から地下室へつながる形で地面を掘り、それを地下と地上をつなぐ外部空間として利用することにより、地下の空気と屋外の空気を循環させて自然の光や風などを取り込めるようにするといったデザイニングが可能となります。
ドライエリアは地下でありながら屋外であるという外部空間であり、高級注文住宅にドライエリアを取り入れる設計も注目される工夫の1つです。
ドライエリアを
高級注文住宅に設置するメリット
ドライエリアを取り入れるメリットには複数のポイントが考えられます。そこで、ここでは大きく3つのポイントを掲げてドライエリア設置のメリットを解説しますので参考にしてください。

3つのメリット
1.
自然の光と風を地下へ取り込める
一般論として、地下室は地下にある閉鎖空間であり、周囲を壁に囲まれていたり、窓があっても小さいもので採光性は不十分であったりといったケースが少なくありません。しかしドライエリアを設けた上で地下室との接続面に大きな窓などを設置すれば、地下室でありながらドライエリアを通して自然の光や風を取り込むことが可能となります。
ドライエリアを活用した換気は空調設備に依存するものでなく、あくまでも自然の気流や光線といったものを利用できるため、気分的にも解放感を抱きやすいことはメリットです。
2.
プライバシーと快適性を両立
通常の住宅建築でプライバシー保護を優先して外部からの視線を遮断しようとすれば、どうしても室内の閉鎖性が高まりやすくなってしまいます。しかし地下室をプライベートゾーンとしつつ、ドライエリアで採光性や換気性を確保すれば、角度的に近隣住民からの視線を排除しつつリラックス感を高めていくことが可能です。
ただし、ドライエリアによって周辺住民の視線を回避しようと思えば、ドライエリアの深さや地上面に設ける開口部の広さといったものを事前にしっかり計算しておかなければなりません。
3.
居住空間としての地下利用
通常、地下室は倉庫や車庫、あるいは趣味の空間といったエリアとして利用されることが多いでしょう。しかしドライエリアを設置して居住快適性を確保できれば、地下室も居室の1つとして利用していくことができるようになります。
また、住宅建築を設計する場合、容積率によって建てられる建物の規模が制限されることもポイントです。一方、地下室を住宅用とで設置する場合、総床面積の1/3以内に地下室の面積を抑えておけば、容積率の計算を行う上で延床面積に地下室を含まなくてよいことが重要です。
つまり、例えば高い階層の住宅などを建築することが認められない場合でも、地下室を活用すれば延床面積を拡大することができます。
ドライエリアを
高級注文住宅に設置するデメリット
ここではドライエリアを設置する上で無視できないデメリットについて解説していますので参考にしてください。

3つのデメリット
1.
悪天候や落下への対策
ドライエリアは地上から穴を掘って地下室へ接続する外部空間であり、当然ながら雨が降ったり雪が降ったりすれば水が流入して雪も積もります。そのため豪雨や豪雪の際にドライエリアへ水や雪がたまらないよう悪天候対策を厳正に行わなければなりません。
もし排水処理や排雪設備に不具合が生じて大量の水がたまったり雪が積もったりすれば、その圧力で窓が割れて地下室が水や雪で満たされてしまう恐れがあります。
またドライエリアからものが落ちないように落下物への対策も考えなければなりません。
2.
建築コストの増加
そもそも地下室を作る時点で地上階のみのプランよりも建築コストが増大します。加えてドライエリアでは地面を掘る深さや幅、位置といったものを総合的に計算してプランニングしなければならず、建築会社や住宅を建てる土地の条件などによっては対応不可能というケースも想定されるでしょう。
当然ながら、通常は地下室やドライエリアの設置が困難な環境でそれらを設置しようとすれば、一層にコストが増加していきます。
3.
断熱性や防音性の低下
地下室のメリットとして防音性の高さや断熱性の高さといったものがあります。そもそも地下室は地上空間と隔離されているからこその空間特性を得るのであり、ドライエリアを設けて屋外と連結させれば必然的に防音性や断熱性は低下してしまうでしょう。
そのため、ドライエリアを設ける前に、地下室をどのような目的や用途で使いたいのか具体的にイメージしておくことが肝要です。
ドライエリアを
設ける際のポイント
ドライエリアを設置するとして、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。

ドライエリアも自宅の一部
1.
ドライエリアのデザイン
ドライエリアの主目的は地下室へ光や空気を取り入れることですが、だからといってドライエリアを単なる何もない空間として放置することはいささかもったいないと言えるでしょう。そのため、ドライエリアのデザインや仕上げ方についても考えることが大切です。
例えばドライエリアに植物を植えてみたり、ドライエリアの壁面や床面のデザインを工夫してオシャレな空間にしたりすることも手法です。
2.
コストパフォーマンス
地下室とドライエリアを一体の空間として、コストを抑えつつ用途に合わせた環境品質を追求していきます。
工事の方法や資材の選定など、コストパフォーマンスは素人が判断できるものでもないため、本当に信頼できるプロを探すことが秘訣です。
3.
将来的なコスト
ドライエリアに排水ポンプや除雪設備を設ける場合、将来的に機械的トラブルが発生した場合や経年劣化による寿命を迎えた場合の修繕コストについても検討しておきましょう。
また、定期メンテナンスや工事作業を行える状態にドライエリアや周辺の状況を保っておくことも大切です。
Check point
ドライエリアを設けるのが
難しい場合のアイディア
吹き抜けや半地下といった工夫
ドライエリアを設置したいと考えても、コスト面だけでなく立地環境などによっては物理的・構造的にドライエリアを設けられない場合もあるでしょう。そのような場合、地下室の快適性を少しでも高めるための工夫として「吹き抜け」や「半地下」といった工夫を考えることも可能です。
地下室を設けながらそのまま1階を突き抜けて2階まで達するような吹き抜け構造にすれば、室内空間がドライエリアの代わりとして機能します。また、地上階の採光性を高めることで地下空間の明るさなども向上するでしょう。
あるいは地下部分の一部を地上に露出させて「半地下」状態にするといった方法もあります。ただし、半地下構造は建築基準法によって「地下空間」として認められなかったり、その他の制限に引っかかったりしてしまう可能性もあるため、あくまでも「地下室」として認められる範囲内に抑えておくことが肝心です。
〈sponsored by〉

アーキテクツ
現代的な先端の感性に伝統の様式美を調和させ、「100年経ってもさらに魅力を深めてゆく」美しい建築作品を生み出し続ける、気鋭の企業。
“森を建てる”をキーワードに、高品質の国産材にこだわり、乾燥技術から加工技術、建築までを協業化した、画期的な産地直送住宅供給システムを確立。建物に命を吹き込む建築を追求し続けている。