使わない和室を茶室にしたいのですが。
去年母親が亡くなり、老人室として使っていた部屋を利用し、趣味として続けていた茶道を本格的にやりたいと思いました。
炉を切る場所と使い勝手をどのようにしたらいいのか迷っています。茶室は坪150万円もかかると言われていますが、参考になる図面とだいたいの金額を教えて下さい。
また、築12年経っていますので、この際台所と食堂も使いやすいものにしたいと考えています。
茶室にはいろいろな決まり事があります
茶室にはいろいろな約束ごとがあって、何年やっていても違うものです。ただ炉を切ればいいというものではなく、人の動線や、広さ、向き、雰囲気など、いろいろな洞察力が必要になります。雰囲気を楽しむだけならいいのですが、腕を上げていくと気になるところがたくさん出てきます。
特に住宅に増築する場合、お客をどのように席入りさせるか動線がポイントになります。少し本格的にやられるなら水屋やにじり口も使えるにようにしたらどうでしょうか。
茶室として、客間としての使い勝手を考慮したプラン
計画プランでは、玄関ホールから茶室に入る廊下を取り、水屋を手前にして2坪増築しました。廊下は貴人口への誘導と縁側としての奥行きが出ると思います。茶室に押入れはつけたくないのですが、客間として使う時必要になると思います。
食堂とキッチンを広げてユーティリティーへのつながりも考えました。茶室は贅沢をしなければ坪80万くらいで出来るでしょう。私は高い材料を使うというより、安い材料でも本物をバランスよく使って楽しむことにしています。もうひとつは、茶室に慣れた大工さんに頼むことでしょう。
編集チームのまとめ
住宅の一角に茶室をつくるなら柔軟性を持たせると◎
茶室にはさまざまな決まりごとがありますが、どこまで本格的にするかで仕様が変わってくるとのこと。しかし住宅の一角に設ける茶室ですから、客間としても使用できるようにしておくというアイデアは秀逸です。これなら茶室だけでなく、場面場面に合わせて柔軟な使い方が楽しめますね。
建築家
HOPグループ代表 CEO石出和博
~Kazuhiro Ishide~
北海道芦別市生まれ、北海道産業短期大学建築学部卒、中堅青年海外派遣事業で渡米した米国の建築に刺激を受け、日本の伝統建築を学ぼうと帰国。1973年藤田工務店入社、宮大工の技術を学ぶ。1989年1級建築士事務所アトリエアム(株)を設立し、伝統住宅、茶室など多数の作品を発表。1996年林野庁の支援を受け国産木材を活用した産地直送の住宅供給システム、HOPハウジングオペレーションアーキテクツ(株)を設立、現在に至る。受賞歴、著書多数。
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アーキテクツ
現代的な先端の感性に伝統の様式美を調和させ、「100年経ってもさらに魅力を深めてゆく」美しい建築作品を生み出し続ける、気鋭の企業。
“森を建てる”をキーワードに、高品質の国産材にこだわり、乾燥技術から加工技術、建築までを協業化した、画期的な産地直送住宅供給システムを確立。建物に命を吹き込む建築を追求し続けている。