Chinoiserie(シノワズリ)とは

シノワズリはフランス語で「中国趣味」という意味を持つ言葉です。東洋のニュアンスを持つデザインですが、もともとヨーロッパで誕生しました。ヨーロッパの人々から見た中国のイメージを表したもののため、中国を思わせるデザインでありながらも、本来の中国文化とは異なるデザインとなっています。

Chinoiserie(シノワズリ)
の歴史

シノワズリの歴史は、17世紀中頃まで遡ります。当時、ヨーロッパと中国の貿易が盛んになり、ヨーロッパにはこれまでにない中国の陶磁器や家具などが流入してきました。西洋にはないオリエンタルなデザインに魅了されたヨーロッパの人々は、中国の影響を受けた作品を多く残します。

フランスでは当時主流だったロココ様式と、中国様式を融合させたデザインが誕生しました。これがシノワズリです。当初は家具や建築、陶磁器やアートなどで盛り上がりを見せたシノワズリですが、次第に壁紙としても人気を誇るようになりました。

Chinoiserie(シノワズリ)
のデザイン

シノワズリのデザインの特徴は、東洋を思わせる山水風景や、花、鳥などが描かれているのが特徴です。また、家具や建築物には、雷がモチーフになっている中国の代表的な模様の「雷紋」、卍型を組み合わせて作られる格子などが多く見られます。宮殿や富豪の邸宅でこぞって取り入られたシノワズリは、どれも格式と品位を感じさせる高級感があります。

Japonisme(ジャポニスム)
とは

シノワズリとよく比較されるのがジャポニスムです。言葉の響きから予想できる方も多いでしょうが、ジャポニスムはフランス語で「日本趣味」の意味を持っています。ジャポニスムもヨーロッパで誕生した様式で、ヨーロッパの人々から見た日本のイメージを表したものです。日本人から見て馴染みのあるモチーフがふんだんに取り入れられていますが、西洋の色が強く出ている独特なデザインになっています。

Japonisme(ジャポニスム)
の歴史

ジャポニスムは、19世紀後期から20世紀初期にかけてヨーロッパで流行した様式です。日本が1845年に鎖国を終わらせると、ヨーロッパとの貿易が盛んになりました。1867年にはパリで開かれたパリ万国博覧会に日本が初めて出品し、日本文化がヨーロッパで広く知られるようになります。これをきっかけにフランスを中心としたヨーロッパで日本の影響を受けた美術品が出回るようになり、高い人気を博しました。

Japonisme(ジャポニスム)
のデザイン

ジャポニスムのデザインは、日本人なら誰もが見たことがある着物や障子などのモチーフや、浮世絵を思わせる平面的な構図が取り入れられているのが特徴です。

シノワズリと
ジャポニスムの違い

シノワズリが中国から影響を受けたヨーロッパで生まれた様式であるのに対し、ジャポニスムは日本から影響を受けたヨーロッパで生まれた様式です。同じ東洋の文化であっても、中国と日本では異なる文化を持っているため、シノワズリとジャポニスムにもその違いが現れています。同じヨーロッパで生まれた様式ですが、元となっている文化が異なるため、そのデザインにも違いがあるのです。

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