建築家ルドルフ・シュタイナーとは

ここでは、建築家のみならず思想家や教育者としても活躍したルドルフ・シュタイナーの略歴や建築の特徴、代表作について紹介しています。魅力的な高級注文住宅や豪邸を建てる際の参考にしていただければ幸いです。

ルドルフ・シュタイナーとは

ルドルフ・シュタイナーは、1861年にクラリェヴェク(現在のクロアチア)で生まれたスラッシャーです。建築家をはじめ、哲学者・神秘思想家・社会改革者・文芸評論家など様々な肩書をもち、日本では「シュタイナー教育」が浸透しているとおり、教育者でもありました。

 

シュタイナーは20代でゲーテ研究や神智学に傾倒したのち、独自に精神世界の研究を展開し、アントロポゾフィー(人智学)と呼ばれる分野を確立。以降、医学や業業、教育・芸術・建築・経済等々、多岐にわたって思想研究を行い数多くの講演会や著作を残しています。

建築家としての経歴・実績は多くありませんが、当時としては独創的かつ革新的だった「ゲーテヌアム」の設計を手がけたことはあまりにも有名で、当時の建築界だけでなく現代でも少なからず影響を与えています。

ルドルフ・シュタイナー
建築の魅力とは

ルドルフ・シュタイナーの建築には、下記のような特徴や魅力があります。

伝統にとらわれない自由で斬新な設計思想

シュタイナーは建築家をメインに活動していたわけではないため、作品事例が豊富なわけではありませんが、彼自身が設計を手がけた「ゲーテアヌム」において、その建築観や設計思想を見い出すことができます。

一つの特色としては、伝統的な建築上の制約にとらわれない、自由で斬新な建築デザインです。例えば、「第1ゲーテヌアム」では伝統的な建築の基礎ともいうべき「直角」を排した設計/デザインが配されており、それを象徴するように、実にユニークな丸みを帯びた二つのドーム型天井が施工されていました。

さらには、第1ゲーテアヌムの後継となる「第2ゲーテアヌム」でも、彫刻的な形状を表現するために、当時としては珍しかったコンクリートを多用するなど、やはり伝統に縛られない斬新な取り組みがみられます。

このような伝統的な建築上の制約にとらわれない画期的な設計/デザインは、自由な思想研究を展開した思想家・シュタイナーのスタンスと無縁ではないでしょう。

精神世界を表現したような曲線美

シュタイナーの代表作「ゲーテアヌム」における斬新さは先述しましたが、その要因の一つとして曲線の多用ということがあります。

ドーム型天井を備えた第1ゲーテアヌムはもちろんですが、第2ゲーテアヌムにおいても、円、楕円、放物線、双曲線など多様な形状の曲線が内観・外観ともに導入されており、植物や虫など自然に通じるような有機的な躍動感を感じることができます。

このような自然を彷彿するような曲線デザインは、単に趣向の一つというより、神秘思想家でもあったシュタイナーの精神世界や神秘的空間を建築によって表現したものといえるでしょう。その根拠として、ゲーテアヌムはシュタイナー自身が中心となって設立した人智学協会の活動拠点として建てられました。

建築家ルドルフ・シュタイナーの
代表作

建築家としてのシュタイナーは多作ではありませんが、その中でも「第1ゲーテアヌム」「第2ゲーテアヌム」という歴史に名を残す作品の設計を手がけています。ここでは、同作品の概要と特徴をご紹介します。

第1ゲーテアヌム

第1ゲーテアヌムは、1922年に竣工(1920年開館)した木造の建築物です。シュタイナーが設立した人智学協会の活動拠点、ならびにオイリュトミー(シュタイナーが提唱した運動芸術)の劇場として用いられました。

シュタイナー自身が外観・内観の設計を手がけており、彼の思想や精神性を表現したと思しき、直角をなくした丸みのあるドーム型天井、多様な曲線のある内聞空間や外観における造形など、自由かつ自然をモチーフにした有機的な設計やデザインが特徴です。

完工からまもない1922年12月31日に放火され消失したため、現在は実物を見ることができませんが、ドイツはミュンヘンにある近現代美術館「ピナコテーク・デアモデルネ」に模型が収蔵されています。

第2ゲーテアヌム

第2ゲーテアヌムは、火事で焼失した第1ゲーテアヌム後に再建された新生ゲーテアヌムです。やはりシュタイナー自身が設計を手がけましたが、彼が担当したのは外観の設計のみで、内装の設計は行わなかったことが伝えられています。

仕上がりは初代を進化させたものとなっており、初代のエッセンスを継承しつつ、より繊細で有機的な造形、彫刻、天井画を施すなど、シュタイナーの精神性や思想に関する再現性の高いものとなっています。芸術性だけでなく実用性も高く、約1000席のホールを備えるほか、ギャラリーやカフェ、書店、図書館などもあります。

現在は、アントロポゾフィー(人智学)協会本部と精神科学自由大学の本部が置かれているほか、スイスの国定史跡にも指定されています。

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