建築家フランク・ゲーリーとは

ここでは、有名建築家フランク・ゲーリーの建築物の特徴や、代表作をご紹介しています。なぜフランク・ゲーリーが多くの人を魅了するのか見えてくるでしょう。また、自宅を建築する際の参考材料にもなります。

フランク・ゲーリーとは

フランク・ゲーリー(フランク・オーウェン・ゲーリー)は、ロサンゼルスを本拠地としているアメリカの建築家です。コロンビア大学の建築大学院の教授であり、イェール大学でも後進を育てています。受賞歴も多く、建築業界だけでなく一般的にも知られている著名な建築家です。


10代の頃にトラック運転手や親戚の事業を手伝いながらロサンゼルスシティ・カレッジの夜間学校に通い、建築や美術を学んだ苦学生でした。大学卒業後は建築事務所で設計を手掛けるなど紆余曲折ありましたが、1978年に転機が訪れます。


自宅をリノベーションした「ゲーリー自邸」はコストを抑えた改修で、築60年の住宅にトタン、金網、木材やガラスでスカイライトを制作するなど、常識とかけ離れた独創的な増築を行いました。独創性は世界的な評価を受け「脱構築主義建築の代表者の1人」と称されるようになったのです。

フランク・ゲーリー
建築の魅力とは

フランク・ゲーリーの建築には、どのような特徴があるのでしょうか。

常識にとらわれない斬新な構造手法とデザイン

ゲーリー邸で注目されたように、ゲーリー作品の特徴は脱構築主義です。常識にとらわれない奇抜な造形やアイディアとともに、大胆なデザインといえるでしょう。ゲーリーの出現までは、金属やレンガや石膏などの素材で1つの家を建てることはまずなかったのです。


ある意味「ぶっ飛んだアイディア」は、一部の人から熱狂的に受け入れられ、逆に奇異の目、不快感を示す人もいるなど評価はさまざまですが、公開のたびに作品が注目される点は変わりません。単純に「奇抜」「意味がわからない」という評価を飲み込むように、建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞をはじめとして多くの受賞歴があり、アメリカを代表する建築家として現在でも多くの人を魅了しています。

システム技術にも精通

ゲーリーはセンスのみで作品を作り上げてはいません。センスだけではアメリカの名門大学で教鞭を取るのはむずかしいでしょう。たとえば、ソフトウェア技術にも精通しています。モデリングと構造解析をする航空力学と機械設計向けソフトを、建築にも適用しているのです。

モデリングと構造解析をする航空力学と機械設計向けソフトを使い、複雑な形態の構造に関する問題も解決しています。チタンパネルの枚数や、施工に求められる部材の数値や量も割り出し、実際に自分の作品の設計に活かしているのです。

また、日本にもゲーリーの作品を見ることができます。神戸の巨大オブジェであるフィッシュ・ダンスや、sno:la京都店にはゲーリーデザインの、段ボールで作った椅子やソファーがあります。

フランク・ゲーリーの
代表作

ここでは、フランク・ゲーリーの代表作をご紹介します。なぜ世界的な建築家として評価されているのか、作品の傾向も見えてくるでしょう。

ゲーリー自邸

ゲーリーの名を世に知らしめた代表作です。1978年当時でも築60年のバンガローをリノベーションしました。ゲーリー邸以前は、いわゆる普通の建築家、以降は国際的に名を知られる建築家になった作品です。

トタン、合板、金網など、ゲーリー邸に使われる素材に高級なものはありません。しかしゲーリーの建築家としての知識やセンスと発想が詰め込まれた家です。

外観だけ見れば多くの人が「住みたい」と思わないでしょう。ただ、ゲーリーの実験的な手法やインスピレーションを反映した建築物なのは間違いありません。名が知られるようになった以降も増改築を行っていました。

グッゲンハイム美術館ビルバオ

スペインのバスク自治州ビルバオ市の美術館です。初見なら「なんだこれは」という印象を持たれる方も多いかも知れません。建物ですが、奇抜、大胆というゲーリーの哲学が詰め込まれた作品は大きな存在感を放っています。

また、グッゲンハイム美術館ビルバオは、建築物1つで街全体の印象さえも変えられるだけの力を世に知らしめたともいえるのです。ただ、グッゲンハイム美術館ビルバオは奇抜な外観ではなく、曲線美やダイナミックと居心地のよさが融合している内観も高い評価を受けています。実際、現代建築の傑作の1つとして数えられている代表作です。

ヴィトラ・デザイン・ミュージアム

フランク・ゲーリー建築に、曲線美という特徴があります。ゲーリーは曲線や斜線を多用しており、それが「ゲーリーの個性」として評価の1つになっているのです。その曲線美のはじまりは、ゲーリー邸ではなく、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムが最初といわれています。

ドイツのバーデンに建てられた、ゲーリー初のヨーロッパプロジェクトによる建築物は、確かに円錐状のフォルム、傾斜路や立方体のコラージュなど、フランク・ゲーリーの曲線美が随所に見られる作品です。

芸術性を優先させているようで、実際は秩序だっており、機能面からも必要なものとして成立しています。

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