建築家アントニン・レーモンドとは

ここでは、有名建築家アントニン・レーモンドの実績や建築の魅力、代表作について紹介しています。理想の高級注文住宅を建てるための参考にぜひお役立てください。

アントニン・レーモンドとは

アントニン・レーモンドは、現在のチェコ共和国出身の建築家。近代建築の三大巨匠、フランク・ロイド・ライトのもとで建築を学びました。


フランク・ロイド・ライトが帝国ホテル建設のために日本へ訪れた際、アントニン・レーモンドも助手として来日。


その後は日本で活動を開始し、第二次大戦前の18年と戦後の26年間、計44年間を日本で過ごして絶えず設計を行い数々の建築物を作り上げました。

彼が31歳当時に開設したレーモンド設計事務所は、今なお設計事務所としての活動を続けています。

日本のモダニズム建築を確立した前川國男や吉村順三から師と仰がれ、日本の近代建築に大きく寄与した人物です。

アントニン・レーモンド
建築の魅力とは

アントニン・レーモンドの建築は、日本の伝統や風習を重んじた、機能的なデザインが特徴です。

有機的建築を継承

師であるフランク・ロイド・ライトから学んだ有機的建築の思想が引き継がれています。


有機的建築とは、地球上の有機物のように普遍的で自然に溶け込んだ建築を目指した考え方です。

意味のない柱や梁、不要な装飾は排除する、構造をむき出しにして素地をそのまま仕上げ材にするなど、自然な美しさと機能性を重視した建築を追求しました。

アントニン・レーモンドは独立後、ライトから受けた影響から脱け出し、独自の設計を目指すためにさまざまな建築物の設計に挑戦しました。

日本の文化や伝統建築を目の当たりにしながら、鉄筋コンクリート造の建築に取り組むようになってからは、徐々に独自のスタイルを確立していきます。

日本の習慣を積極的に採用

アントニン・レーモンドは、日本の古くからの伝統や習慣を積極的に建築に取り入れました。

「鬼門」などの方位に配慮した設計や「北枕」を意識した寝室など、細部にわたり日本人の生活になじむ家づくりを生涯目指したといいます。

また、「障子」の最高や遮熱効果を高く評価。明かり取りや断熱のために、住宅設計に多く取り入れました。

レーモンド建築の5原則

アントニン・レーモンドは、建築は、より「自然(natural)」で「単純(simple)」、「直截(direct)」「経済的(economical)」「実直(honest)」であるべきという考えを持っていました。これはレーモンド建築の5原則と呼ばれ、多くの作品がこの原則に則ってつくられています。

「日本の伝統や風習を重んじる考えもこの原則によるもので、レーモンドの建築が西洋建築でありながら日本の本質を残しているのは、建築の直截さや実直さが追求された結果とも言えるでしょう。

建築家アントニン・レーモンドの
代表作

アントニン・レーモンドは44年もの時間を日本で過ごし、数多くの建築物を作り上げました。

ここでは、日本にあるアントニン・レーモンドの代表作をご紹介します。

レーモンド邸「夏の家」

長野県軽井沢町にある別荘風の建物です。もともとは夏シーズンの事務所兼別荘として、1932年に設計されました。その後、日本火災海上の宿泊施設として使用され、移築後に「ペイネ美術館」として利用されています。

現在も軽井沢の貴重な文化遺産のひとつとして親しまれており、一般人が見学に訪れることも可能です。

イタリア大使館中禅寺保養所

1928年に、イタリア大使館の別荘として設計された建物です。1997年まで歴代の大使が実際に利用していました。

1階は中央のリビングと暖炉のある食堂、書斎がひとつの空間につながるように設計されており、開放的なつくりが特徴的。2階は主にベッドルームが配置されています。

外壁には市松調模様が施されており、日本家屋と西洋建築の融合を図ったディテールがうかがえます。これは、家具やインテリアのデザイナーであったレーモンドの夫人の影響が大きいと言われています。

神言神学院

名古屋市にある神言(しんげん)神学院は、1966年にアントニン・レーモンドが設計した建物です。

内部は司祭や修道者などを養成する施設となっており、丸みのある独特なデザインの聖堂を中心に、直線的な住居棟や事務棟がそれを囲んでいます。

建物の壁や柱はコンクリートの打ち放し。コンクリートならではの無機質さや冷たさを感じさせない、なめらかな曲線美が印象的な建物です。

祭壇から放射状に床の模様や屋根がデザインされており、壁にはシンプルな色ガラスを配置。

豪華なステンドグラスではなく色ガラスを採用している点からも、レーモンドの5原則「単純(simple)」や「経済的(economical)」へのこだわりがうかがえます。

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